はじめに
大学病院で、入院手続きをした時に、入院までに『限度適用認定証』の申請をして、入院時に提示するよう言われました。
今回は、この『限度額適用認定証』について、書きたいと思います。
限度額適用認定証とは?
正式名称は『健康保険 限度額適用認定証』といいます。
普段あまり病院にかかったり、医療に携わっていない方にとっては、聞き慣れない言葉だと思います。
私は、保険調剤薬局の薬剤師として、こういった保険制度の知識も必要となるので、知っていましたが、まさか自分が申請する日が来るとは思ってもいませんでした。
高額療養費制度
まず、限度額適用認定証の説明をする上で、健康保険制度には、高額療養費制度というものがあることを知っておく必要があります。
高額療養費とは、全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページでは、以下のように記されています。
重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。
被保険者、被扶養者ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢及び所得に応じて次の計算式により算出されます。
また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。(世帯合算)
なお、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000 円以上ある場合も同様です。(70~74歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)
なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります。(多数該当)
協会けんぽHPより
いろいろ書かれていて、めちゃくちゃややこしいのですが、ざっくりと言うと、
入院や治療が長引く場合、医療費の自己負担額が高額になります。
そのため、負担を軽減できるように、一定金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。
だたし、保険外の負担分(差額ベッド代等)や入院中の食事負担分などは対象になりません。
まだちょっと難しいですね・・・
要は、「1か月の医療費の自己負担限度額が決まっていて、それを超えた医療費を支払った場合は、超えた分が払い戻されて返ってくるよ」といった感じです。
1か月の自己負担限度額は、年齢と所得に応じて、とても細かく決まっています。
ここには載せきれないので、ぜひ協会けんぽのホームページで、ご自身の自己負担限度額を調べてみてください。
限度額適用認定証
高額療養費制度では、自己負担限度額を超えた分の払い戻しは、自分で保険者に手続きをしないといけません。
そこで、限度額適用認定証を、あらかじめ医療機関に提示することで、自己負担額が限度額まででよくなりました。
簡単に言うと、高額療養費制度で後から返金されていたものが、限度額適用認定証があることで、そもそもの支払いが限度額まででいいという感じです(最終的な負担額は、どっちにしろ限度額まで)。
医療費が高額になってしまう場合を考えると、返金があるとはいえ一旦大金を支払うのは、とても大変だと思うので、限度額適用認定証があることで、負担を抑えられてとても安心ですよね。
注意点
とても便利な限度額認定証ですが、いくつか注意点があります。
・医療機関に限度額適用認定証を提示することで、同一の月において、それぞれ一医療機関(病院・薬局等)ごとの窓口での一部負担金等の支払額が自己負担限度額までとなります。
・同じ医療機関であっても、①医科入院、②医科外来、③歯科入院、④歯科外来にわけて計算します。
つまり、同じ病院でも医科入院で限度額まで、医科外来で限度額まで、歯科入院で限度額まで、歯科外来で限度額まで、さらにはA薬局で限度額まで、B薬局で限度額まで・・・・それぞれ支払うことになり、すべて合算して一月の限度額を超えている場合は、保険者への手続きをすることで差額を返金されます。
また、療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
私の場合
入院受付窓口で
私は、大学病院の入院予約の受付をした窓口で、この『限度額適用認定証』の申請をしておくよう言われていたので、入院までの間に申請しました。
申請
大学病院で、協会けんぽの申請書を渡してくれたので、それに必要事項を記入しました。
※自分が加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)の保険者に、申請をすることになります。
大学病院の担当者の方によると、職場の担当者に言えば申請してもらえると思うし、申請書を同封の封筒で協会けんぽの該当支部に郵送することでも申請できるとのことでした。
職場の総務の人の仕事を増やすのは、気が引けたので、私は同封されていた封筒に、申請書と本人確認書類を一緒に入れて、協会けんぽに送ることにしました。
認定証
申請書を郵送して、数日後(1週間はかからなかったと思います)に、認定証が郵送されてきました。
いつも職場で見慣れているはずの認定証ですが、自分のものだと思うと、ちょっと変な気分になりました。
自己負担限度額
ちなみに私は、
適用区分『ウ』でした。
高額療養費制度の自己負担限度額の計算式の表より、
70歳未満の区分『ウ』は、1か月の自己負担限度額は
「80,100円+(総医療費(10割)-267,000円)×1%」
となります。
どんなに高額な医療費になっても、だいたい最大8万円ちょいくらいの負担額で済むということですね。
入院したことがない私は、2泊3日の入院の自己負担額が全く想像できなかったのですが、支払うのはこれくらまでの金額で済むと知ることで、少し安心できました。
実際は、2泊3日のステロイドパルス療法の入院で、食費等も含めて4万円弱(3割負担です)の自己負担額で済み、限度額認定証の出番はなかったです。
でも、自分で申請してみることで、改めていろいろ知ることができ、よい機会になりました。
まとめ
保険調剤薬局では、高額な医薬品を使用されている方は、この限度額適用認定証を提示され、一月あたりの自己負担上限額までの支払いで済んでいる方も多く見かけます。
外来で高額な薬を使用している方って、病院の支払いは(検査いっぱいしたりしない限り)そこまで高くならないですが、薬局での支払いがすごい値段になるのです・・・。
みなさんにも、医療費が高額になる時は、こういった制度があるということを、ぜひ知っていただき、安心して医療を受けていただければなと思います。
参考:協会けんぽホームページ
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